
お魚が産卵に選ぶ海、乳飲み子を抱える母のような海、五島有川の海から。
私たちの漁協は、日本の西のはて、五島列島の島々のひとつ、中通島の有川にあります。
江戸時代より「鯨のまち」として栄えた有川の町は、捕鯨禁止〔試験捕鯨は一部あり〕以降は恵まれた水産資源の定置網漁に活路を見いだし、五島漁業の中核基地として頑張っています。今は合併で新上五島町となりましたが、漁協名は「有川町漁協」のままに、鮮魚から加工品まで、前浜獲りにこだわり、私たちが納得できるおいしさをお届けしています。
私たちのおふくろ的な存在である前浜の海は、鯨組による網取り漁法のメッカだった「有川湾」ですが、鯨にとっては優しく憩える「美味しい海のレストラン」ともいえる海域だったといえるでしょう。マンボウ、ハコふぐ、トビウオなど1000種にも及び幾多のお魚達にうれしいプランクトンが多く、対馬の暖流と湾の大きさが底部に抱えさせる地の海流とが幾重にもぶつかりあう変化と水温の関係もあって、大海の中の天然のオアシス、回遊暮らしのドライブインといえるような環境条件の良さに恵まれているからです。もちろん、多くのお魚、イカやタコにとってはまさに命がけの大事、産卵の場所に選ぶ海域にもなりますから、海の中では壮大で神秘的な生命の誕生物語が繰り広げられています。
こうした海の幸の宝庫に対して、大切に思う気持ちと命をいただく感謝を込めて、五島「海之蔵」と呼ぶことにしました。そこに働き、いっしょに生きている私たちは「蔵人」と考えています。水産品を通じて海の良さをお届けするとともに、豊かな海がいつまでも続いていくことを願う「防人」の役割もまた同時に果たしていくことが蔵人の仕事です。
さぁ、これから本欄で、島の暮らしや海のエピソードなどなど楽しい蔵人便りをおとどけしますので、ぜひお読み下さい。また、皆さまからのお便りもお待ちしております。